Event|『グレース』上映会 CinéRuelle × bear’s bookstore

11月15日(金)の20時から、映画『グレース』の上映会を開催します。CinéRuelleさんとの第3回目の上映会です。


本作は、息が詰まるような停滞感に覆われたロシア辺境を舞台に、移動映画館で日銭を稼ぐ父と、思春期の不安を抱える娘の日常を追うロードムービーです。

父親への反発、思春期の戸惑い、そして終わりの見えない旅路。彼女が漂流する先には一体何が待ち受けているのでしょうか... ふたりを取り巻く多様な民族、宗教、政治的問題に目を向けながらも、この映画は少女の成長譚として、私たちの心を深く揺さぶる事でしょう。


これまで木曜開催だった上映会。今回は金曜日の開催です!ロシアの新鋭監督の最新作をぜひご鑑賞ください!


CinéRuelle/余映 インスタグラム:https://www.instagram.com/cineruelle/

『グレース』公式サイト:https://grace.twentyfirstcity.com/

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CinéRuelle × bear’s bookstore『グレース』上映会

■日時

2024年11月15日(金)19:00開場 / 20:00開演

■会場

bear’s bookstore (@bb_gekijo)

岡山県岡山市北区表町3-11-50 岡山芸術創造劇場ハレノワ1階

■鑑賞料金

1,500円+ドリンク代

■予約方法

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【introduction】

2023年カンヌ国際映画祭が唯一認めたロシア映画


ロシア南⻄部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポルノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。 娘は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが…

2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成⻑を追ったロードムービーである。 東欧の⺠話をもとにドキュメンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。この映画が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もいない。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。


【story】

憂鬱と魅惑に満ちたロシア辺境、ひとりの少女が旅に出て大人になる───


荒涼とした岩山に流れる小川のほとり。10代半ばの少女が身体を震わせながら下着の汚れを落としている。彼女が戻った先には老朽化した赤いキャンピングカーが止まっている。その中から出てきた見知らぬ女が少女に生理用品を渡し、そのままどこかへ去っていく。続いて出てき たのは少女の父親。少女は父親に嫌悪の一瞥をくれる。少女は「海に行きたい」とだけ呟いて車に乗り込む。

親子は赤いバンでロシア辺境を南から北へ縦断する旅を続けているようだ。移動映画館と海賊版DVDの販売でどうにか日銭を稼ぐ毎日。長旅に欠かせないガソリンは闇市から違法に仕入れる。少女は一体いつまでこの放浪生活を続けなければならないのか。思春期の彼女は父親への反抗心を日々募らせている。

親子の旅路には実に多様な風景が広がり、そこには独自の文化、言語、宗教を持つ人々がひっそりと逞しく暮らしている。少女は旅の唯一の愉しみであるポラロイドカメラでそんな風景と人々のポートレートを撮影する。

ある日、立ち寄った小さな村落でいつものように野外上映を催す親子。どこからともなく地元の住民が集まり、上映される映画を一心に見入る。スクリーンの設営を手伝った一人の少年。何もない小さな村で鬱屈とした生活を送る彼の目には、旅を続ける親子は自由を謳歌している ように見える。翌日、村から離れる親子のあとを彼はバイクで追いかける…